ライバル登場で株価急落…エーザイの認知症治療薬を巡る「明と暗」
“刺客”現る──とでもいったところか。エーザイと米バイオジェンが共同開発した世界初のアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」に手ごわいライバルが登場する。製薬大手の米イーライ・リリーが手掛けた「ドナネマブ」だ。
すでに米国では食品医薬品局(FDA)が7月、製造販売承認を与えていたが、国内でも厚生労働省の専門部会が先週、承認を了承した。近く正式に承認される見込みだ。
2つの治療薬はいずれも「作用機序に大きな違いはない」(医療関係者)。アルツハイマー型認知症を引き起こす原因物質とされるアミロイドβを取り除くことで認知機能劣化の進行速度を抑制する。軽度認知症や軽度認知障害(MCI)などの患者を対象にした治験で、偽薬(プラセボ)を投与したグループと比べ、ドナネマブは約29%、レカネマブは同27%、1年半後の進行を遅らせる効果が確認できたとしている。
副作用もほぼ共通しており、どちらも脳出血や脳の腫れが発現するケースがある。強いて差を指摘すればドナネマブの方が発現確率が「やや高い」(製薬業界筋)といったことくらいだろう。