和歌山県有田市はなぜ「蚊取り線香」発祥の地になった? ライオンケミカルに聞いた
夏の季節に欠かせない蚊取り線香。その蚊取り線香発祥の地が和歌山県有田市だ。「金鳥」の大日本除虫菊、「キング香」のキング化学(白元と合併)、「月虎かとり」の内外除虫菊(現・オズ)、そして「ライオンかとり」のライオンケミカルなどの会社が明治時代に次々と誕生した。
ではなぜ、有田市が蚊取り線香の町になったのか?有田市はもともとミカン農家が多く、そのミカン畑で“副業”として除虫菊を栽培するのが盛んだった。さらに“ある人物”が貢献する。
「山彦製粉工場(ライオンケミカルのルーツ)の上山彦松が有田に除虫菊栽培が広がり始めることに興味を持ち、水車を建設して製粉作業を効率化しました」(広報担当者)
除虫菊は当初、粉末にして蚊ではなく、「のみとり粉」として使われていたそうだ。粉を畳の下にまいて使っていたのだが、いつごろからか粉を火鉢に入れて燃やすと、殺虫成分の「ピレトリン」が蚊の殺虫や忌避に役立つことがわかった。
しかし、粉のままでは火鉢に頻繁に補充する手間がかかったため、棒状の22センチほどの線香タイプが登場。ただ、この線香タイプも燃焼時間が45分ほどと短く、後に「渦巻き形」の今でも目にするタイプの蚊取り線香が誕生した。