著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

FOOD&LIFE COMPANIES(上)プロ経営者として知られる水留浩一社長が交代

公開日: 更新日:

 09年には官製ファンドの企業再生支援機構(現・地域経済活性化支援機構)の常務に就き、翌10年、会社更生法で再生中の日本航空(JAL)の副社長に転じた。

 水留の名前が経済界に知られるようになったのは、日本航空の副社長に就いてからだ。

 10年12月、稲盛和夫会長のもと、管財人である企業再生支援機構と京セラが支える体制を整えた。支援機構常務の水留が副社長に就いた。水留は42歳。「水留、WHO?」との声が上がった。

 稲盛のもとで水留は人員整理を仕切った。副社長就任早々、パイロットと客室乗務員146人が、整理解雇は不当として東京地裁に提訴した。

 整理解雇では、退職金が割り増しされる例はほとんどない。しかし、JALでは、整理解雇にもかかわらず、早期退職募集と同等の割増退職金が提示された。

 非御用組合のメンバーを狙い撃ちにした「管財人の企業再生支援機構による不当労働行為」として、水留は国会に喚問された。整理解雇について、会長の稲盛との認識の違いを共産党議員に追及され、寄り合い世帯の意思不統一ぶりをさらけ出した。

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