FOOD&LIFE COMPANIES(上)プロ経営者として知られる水留浩一社長が交代
法的整理という“劇薬”を使っただけに副作用は強烈だった。5200億円に上る債権放棄を迫られた銀行団は、日航株の再取得を求める水留ら支援機構の要請をあっさり断った。
12年9月、日航は再上場を果たした。支援機構は保有株の売却で3000億円の利益をあげたのに高揚感はなかった。再建役として支援機構が副社長に送り込んだ水留は、12年春、機構を去った。
水留はただのコンサル出身の経営者ではない。コンサルタントはいかに速く再上場するかを手ほどきするのが普通だが、水留は違う。企業価値の向上に向け、上場企業に上場廃止を提案する。大企業が事業の選択と集中を加速する中で、選択されなかった事業部門や関係会社を自立、発展させる手法としてMBO(経営陣による企業買収)というカードを切った。
水留は日航の副社長を務めた後、MBOの成功モデルとなっているアパレルのワールドの専務執行役員を経て、15年1月、スシローの顧問となる。
スシローはMBOで上場廃止になった企業である。株主や株価に振り回されることなく、企業価値を高めることができることがスシローを引き受けた理由だ。
水留がスシローで何をやって、何がやれなかったかを検証する。(つづく)=一部敬称略