セブン&アイHD(下)カナダ大手の買収提案に創業家はどう出るか
■総合スーパーから食品スーパーへ
伊藤氏の死によって、セブン&アイで大きな動きがあった。
セブン&アイの井阪隆一社長は23年3月、イトーヨーカ堂を126店舗体制から、26年2月末までに93店舗へ縮小し、祖業のアパレル事業からも撤退すると発表した。
今年8月下旬、撤退する33の店舗名を明らかにした。北海道6店、東京都3店、神奈川県4店、埼玉県4店など。首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)は91店から77店に減少する。
4月には、イトーヨーカ堂を核とするスーパー事業を集約し、27年度以降に株式を新規に上場させる方針を打ち出した。
東北地盤のヨークベニマルなどと食品スーパー事業を担う中間持ち株会社を設立して上場させる。総合スーパーから食品スーパーに特化し、再生を図るシナリオだ。
セブン&アイはセブン-イレブンを展開する主力のコンビニに経営資源を集中する。
事業構造の改革に合わせて、創業家出身の伊藤順朗氏が4月1日付で代表取締役に追加選任した。伊藤氏はスーパーストア事業を管掌する。ヨーカ堂を分離した上場会社のトップに据える布石と受け止められている。