著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

ヤマハ発動機は過去最高の業績なのに…日髙祥博社長「辞任」の衝撃と波紋

公開日: 更新日:

 ヤマ発はホンダに次ぐ世界2位の二輪車メーカーだ。海外売上高比率は9割を超えるが、ブラジルやインド、インドネシアといった新興国を牽引役に高価格帯のバイクの売れ行きが止まらない。これに「想定外の円安」(ヤマ発関係者)といった追い風も吹く。1750億円としている今期の最終利益予想も「近々、上方修正される」(証券筋)との観測が専ら。日髙氏からすれば、現経営陣に後事を託すことへの不安は相対的に少なかったと思われる。

 逆に言えば仮にヤマ発の業績が低迷し、その台所が「火の車」であったなら、日髙氏の懊悩と煩悶はそれこそ極限状態に達していたに違いない。

 その日髙氏にとって心残りがあるとすれば底ばいが続く国内二輪車市場の活性化か。「経済産業省と振興策を探っていた」(事情通)とされるが、その姿はまだ見えていない。

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