石破首相が「賃上げに強い意欲」も実現は望み薄…企業内部留保と労働分配率で一目瞭然
■企業内部留保は12年連続で過去最高更新、労働分配率は過去最低
財務省の法人企業統計調査によると、利益から税金や配当を差し引いた「内部留保(利益剰余金)」は2023年度末に600兆9857億円となり、初めて600兆円を突破。12年連続で過去最高を更新したにもかかわらず、人件費は1990年代半ば以降、200兆円前後で推移。企業の利益などが賃金に回る割合を示す労働分配率(23年度)は38.1%と過去最低だったからだ。
つまり、政府がどれだけ企業側に賃上げを求めても効果は見込めない。ならば、石破政権が打つべき有効な手段はたった一つ。消費税を含む減税や社会保険料の負担軽減だろう。
所得税、住民税、固定資産税、厚生年金・雇用の両保険料や介護保険料……。これらの税金や社会保険料の負担が所得に占める割合を示した「国民負担率」は2024年度で45.1%。ざっくり言って収入の半分強しか自由に使えないわけで、そこにガソリン高などが加われば、国民の暮らしが良くなるはずもない。
日本は4年連続で一般会計の税収が70兆円を上回り、24年度は73.4兆円。25年度も70兆円台後半が見込まれているといい、6年連続で過去最高を更新する見通しだから、今こそ「異次元の減税・社会保険料の負担軽減」に取り組むべきではないか。