天竜林業高校 成績改ざん事件 77歳になる元校長は17年間、無実を訴え続けている

2006年に静岡県浜松市の天竜林業高校(現・天竜高校)で起きた調査書の成績改ざん事件で、当時の校長・北川好伸氏(77)は08年に虚偽有印公文書作成と加重収賄の容疑で逮捕された。裁判では懲役2年6月(執行猶予4年)、追徴金20万円の判決が確定したが、一貫して無実を訴え、再審を求め続けている。
「かっこよすぎるかもしれませんが、警察、検察、裁判官が冤罪を生む不正義を世に知らしめたい。そんな使命感に似た思いがあります」
逮捕から17年。北川氏は今も無罪判決を諦めない理由をそう話す。
確定判決によると、北川氏は教諭4人に指示し、大学の推薦入試に提出する生徒2人の調査書の成績を改ざん。生徒2人のうち、1人の祖父である元天竜市長・中谷良作氏(92)からお礼に現金20万円を受け取ったとされた。その根拠は、改ざんを行った教諭4人が「校長の指示だった」と供述し、中谷氏(贈賄罪で罰金刑が確定)も北川氏に孫の成績改ざんを頼み、金を渡したと認めたことだった。
ただ、教諭4人は事件の発覚当初から供述内容の変遷が激しく、うち1人は弁護団に「本当は校長の指示はなかった」と証言。北川氏が14年に静岡地裁浜松支部に再審請求した際、中谷氏も自白を撤回し、「本当は北川氏に何も頼んでいないし、金も渡していない」と明言した。この再審請求は23年に棄却されたが、現在は第2次再審請求が進行中だ。
北川氏は警察や裁判官にも強い憤りがあるが、検察について話す時はとくに口調が熱くなる。
「検察官の取り調べでは、『ここに人権というものは存在しないぞ』と言われました。ペン先を目の前に突きつけられ、勝手に作成された調書への署名や指印を求められたこともありました」
北川氏が容疑を認めずに耐えていると、検察官は「卑怯者!」と罵倒してきて…
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