投げ込みたいマー君をじらす首脳陣からの「ダメ出し」
加えて、このオフは契約問題が1月末にずれ込んだ影響もあり、調整が例年以上に遅れた。トレーニングは仙台でほぼ毎日のように行っていたものの、本格的にボールを握り始めたのは年が明けた1月中旬から。2月1日以降は、共に仙台で自主トレを行っていた楽天ナインがキャンプインして、再び調整はペースダウン。渡米前の約2週間は軽いキャッチボールしかできなかった。そんな背景もあって、田中は調整が遅れている、これで大丈夫なのかと不安になっている。
■「いまから肩をつくったらもたない」
本人はそんな気持ちを払拭しようと、同僚の黒田やダルビッシュ(レンジャーズ)らに調整方法を聞きまくっているようだが、しっくりいく返事はないという。もっとも、いい答えが返ってきたところで、ヤンキースが自己流調整を認めるかどうかという疑問も残る。
この日、ジラルディ監督やロスチャイルド投手コーチと共に、田中の投球をチェックした首脳陣のひとり、ペーニャ・ベンチコーチに話を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
「タナカが日本の春季キャンプでどのようなトレーニングをしてきたかは詳細に把握していないが、こちら(メジャー)では先発投手はシーズン中の中4日のローテーションを守る必要がある。その厳しいシーズンを1年間乗り越えるためには、今から肩をつくっていてはもたないと思う。だから仮に、本人がブルペンの投球数が足りないと感じているとしても、我々が『それなら投げてもいい』という答えは出さないだろう。むしろ、メジャーの現状を理解してくれるよう、投手コーチらと共に彼と対話するしかない。彼はまだ若いし、今後長年にわたってチームで活躍してもらわないと困る。私を含め、首脳陣がしっかり彼とコミュニケーションをとっていけば、彼もきっと理解してくれる。君(記者)からもそう言っておいてくれないかな」