投げ込みたいマー君をじらす首脳陣からの「ダメ出し」
「こういうもんだな、と思ってやっていくしかないですよね」
キャンプイン以来、ヤンキースの田中将大(25)が自らに言い聞かせるように連日、こうボヤいている。日本のプロ野球のような「投げ込み」が許されないからだ。
メジャーのキャンプでは基本的に、投手コーチが見ている場面以外の投球練習が認められない。球数も徹底して管理される。特にキャンプ序盤はその傾向が顕著で、ブルペン投球は多くても3日に1度。球数も30球程度に制限される。
田中はキャンプ地入りして以降、この日(日本時間18日)までの7日間で、ブルペンに入ったのはわずか2度。球数は23球、32球の計55球だ。楽天時代の1回の投球練習の球数にも満たないとあって、ストレスがたまるようなのだ。
日本人投手がメジャーで最初に戸惑うのが投げ込みの少なさ。誰もが通る道とはいえ、田中はただでさえ肩やひじができるのに時間がかかるタイプだ。
昨年のWBCで最後まで精彩を欠いた理由はメジャー公認球やマウンドが合わなかったことではない。他の投手よりも仕上がりが遅く、本番の3月に間に合わなかったからだ。本人も「ボクは春先はいつも調子が良くない。去年も夏場まで調子が良くなくて、工夫して投げていたので」と話す。