嶋のサインにもNO 楽天・松井裕が初陣で見せた「聞き流し力」
■コーチのフォーム修正も無視
まだ高校を卒業していない18歳らしからぬ度胸のよさは、投球フォームにしてもそうだ。
松井裕はキャンプ開始6日にして、佐藤投手コーチからフォーム修正を命じられた。松井裕といえば、踏み出した右足を投げる瞬間に突っ張らせ、左腕をほぼ垂直に振り下ろすという特徴的な投げ方。角度と威力のあるボールを投げられる半面、体重移動に難があり、投げ終えた後は体が三塁方向に流れることが多い。肩やヒジの負担も大きい、と右足を曲げて投げるオーソドックスなものにするようメスを入れられていた。
松井裕も当初は「徐々に変えていければ」と言いながらも、この日は高校時代と何ら変わらぬ投げ方。佐藤コーチの指導はみじんも感じさせなかった。
このふてぶてしい態度こそ、プロでは必要不可欠だ。二軍投手コーチ時代、ルーキーたちに決まって「耳かき」をプレゼントしていた評論家の権藤博氏は、キョトンとする新人に何と言ったか、かつて日刊ゲンダイ本紙のコラムでこう書いている。