嶋のサインにもNO 楽天・松井裕が初陣で見せた「聞き流し力」
「コーチの話が右から左に通り過ぎるように、これで耳掃除をしなさい」
「コーチから何か言われたら、ハイ、ハイと元気よく返事はしなさい。コーチは間違ったことは言わない。しかし、アドバイスはすべてを聞かなくていい。必要と思えばやる。自分で取捨選択し、合わないと思えば右から左に聞き流す。そのくらいのずぶとさがなければダメだ。君たちは素質があるからプロに入ってきたんだ。自信を持ちなさい。そのための耳かきだよ」
松井裕はこの日、正捕手の嶋(29)のサインにも首を振って変化球を投げていた。これも並のルーキーにはできないことだろう。
星野監督は「ない!」と言うものの、もちろん、牽制やフィールディング、制球難にスタミナ不足と課題は山積み。が、それは1年目の田中(現ヤンキース)もたどった道だ。
田中はプロデビュー戦で二回途中6失点KOされ、ベンチで号泣。それでも翌週の試合では6回を無失点に抑えた。1年目は12球団ワーストの28盗塁を許しながらも、翌年以降は克服した。