「被災地復興」振りかざして突き進む 東京五輪のおぞましさ
そんな選手強化本部長をニンマリさせたのが、先月の決定事項だ。東京五輪に向けた選手育成及び強化策として、競技団体が国の補助金を受けて実施する強化事業について団体側の自己負担をゼロとする方針を決めた。
下村五輪担当相によれば、これまでは国が3分の2、競技団体が3分の1を負担していたものを、東京五輪の行われる20年までの6年間だけすべて国が面倒を見るという。ちなみにJOCは、NTCで有望ジュニア(卓球、フェンシング、レスリング)を育成するエリートアカデミー(年間運営費1億円)の他に、福岡、岡山、東京など、11の都道府県市町村が行っている有望選手の発掘・育成事業も支援している。
■恩恵は東京に
前出の菅野氏が言う。
「私が生まれた気仙町も巨大津波にのみこまれました。地元が考えた開発計画に、国は戻ってくる人口を計算してカネをかけ過ぎると待ったをかける。役人なんて地元のことなんて何も知らないのに、机の上の計算だけで判断する。四の五の言って復興のためにカネを使わないのは、予想以上に資金が必要な五輪に回すためなんじゃないかとさえ思えてきます。8日には安倍首相が福島を訪れ、<福島の復興なくして日本の再生はない>と繰り返した。福島の人は<何言ってるのか!>と怒りますよ」