マー君は習得に2年…投手が挑む「スプリット」の難度と利点
メジャーデビュー戦を白星で飾ったヤンキースの田中将大(25)の最大の武器は、スプリット(・フィンガード・ファストボール=SFF)だ。
このボールはストレートと同じ腕の振り、軌道からストンと落ちる。フォークボールに比べて落差は小さいが球速が落ちない。しかもボールを離す瞬間、人さし指と中指の力のかけ具合によりスライダーやシュート回転する。打者にとってはやっかいなボールだ。
近年、この変化球を投げる投手が増えている。オリックス金子や阪神能見、巨人に移籍した大竹。昨季新人王のヤクルト小川、楽天則本に、阪神藤浪、日本ハム大谷。広島前田もオープン戦で何度もSFFを痛打されながら習得に意欲を燃やしている。
一昔前は野茂や佐々木が武器にしたフォークボールを投げる投手が球界を席巻したが、今やSFFが主流になりつつある。
評論家の山村宏樹氏(元楽天)はこの傾向について、「フォークよりスプリットの方が利点が多い」と言ってこう続ける。
「指を深くボールにかけて挟むように握るフォークは、数多く投げると徐々に握力が弱くなる。回転数が少ないのでスッポ抜けると、落差のない棒球になる危険性もある。スプリットはフォークより指を浅くかけて握るのでひじや肩への負担が少ないし、フォークより打者に球種を見極められにくいのです」