佐賀北・百崎敏克監督の指導方針は「価値観を押し付けない」
――では、どういったチームづくりを目指しているのですか。
「僕の野球が『○○野球』と言われるとするなら、一人一人に役割を持たせ、明確にすることです。おまえは足をかじれ、おまえは後ろに回れ、おまえは目を狙え、それで大きいヤツをまとめて倒せと。ウチにはバット引き、投手に水を渡す係、声出し役もいる。レギュラーだって、0ストライク3ボールでも打っていく選手がいれば、1ストライク2ボールでも打っちゃいけない選手もいる。エースも4番も偉くない。エースには『控えのやつにテスト前に勉強教わってるだろ』と。逆にその控えの生徒には『エースが勉強で困っているから支えてやってくれ』と言ってるんですけどね」
――個々が役割を全うすることで大きな力になっていくと。
「自分にないものを支え合うのが人間でしょう。実力、運だけでは勝てない、運に気づけるかどうか。それは日々の生き方にかかっているよと。愚痴を言ったり人のせいにしている間は運は逃げていくと思う。生徒には『味方でも親でもない、ただ野球が好きな人が応援したくなるチームをつくろう』と言ってます。笑顔で楽しげにやる。3アウト取っただけで優勝したように喜ぶ。そのメンバーをベンチも喜んで迎える。ミスしても先頭に立ってプレーする。甲子園というのは、球場全体がいつの間にか敵にも味方にもなると感じますね」