高藤が規律違反 男子柔道界に「リオの星」甘やかしのツケが
柔道男子日本代表が、また失態を演じた。
60キロ級の高藤直寿(21=東海大)が8月の世界選手権(ロシア)期間中に練習への遅刻を繰り返す規律違反を犯したため、全日本柔道連盟(全柔連)の強化指定ランクは最高位のAからBに降格。東海大の副監督でもある井上康生男子代表監督は自らの指導力不足を理由に頭を丸刈りにして責任を取った。
問題の高藤は今年の世界選手権では3位に終わったものの、初めて出場した昨年の同大会(ブラジル)で金メダルを獲得。昨年は度重なる不祥事で全柔連への批判が高まっていただけに、73キロ級を制した大野将平(22=当時天理大)とともに「柔道界の救世主」と持ち上げられると同時に「リオの星」と期待された。
その後、大野は天理大柔道部の暴力事件への関与が明らかになってケチがつき、全柔連の期待は高藤ひとりに集中。全柔連から甘やかされるようになったという。高藤を知る関係者は「今回の規律違反は起こるべくして起きた」とこう続ける。
「一躍、リオのメダル候補に躍り出たこともあり、全柔連や首脳陣は高藤を腫れ物に触るように扱ってきた。テングになった高藤は代表合宿中、宿舎を抜け出してパチンコに繰り出すなど、代表選手としての自覚に欠ける行動を繰り返していたといいます。にもかかわらず、首脳陣は態度をあらためるように厳しく指導してこなかった。全柔連や代表首脳陣が甘やかしてきたツケが出たのでしょう」
ロンドン五輪では史上初の金メダルなしに終わり、低迷する男子柔道の再建を図る井上監督は「最強かつ最高の選手を育てる」としているが、就任してから世界チャンピオンによる失態は2件目だ。男子柔道の改革にはしばらく時間がかかりそうだ。