モンゴル人力士・逸ノ城の快進撃に舞い上がるNHK
「逸ノ城に始まり、逸ノ城に終わる、白鵬の31回目の優勝さえかすんでしまうような逸ノ城の活躍でした」
千秋楽のNHKテレビ中継アナウンサーはそう言い切った。白鵬に代わってなにか新しい刺激が欲しくてたまらないところ、わざわざ場所中に逸ノ城の父親をモンゴルで取材して一緒にテレビ観戦させ、相撲留学で来日した際の鳥取の高校の相撲部員全員に中継を見せて話題にした。どうにも取って付けた感じがする。
前日急きょ取組が決まって白鵬と対戦する直前の逸ノ城を14日目に中継したアナウンサーは、「半眼の目からは仁王像、多聞天を思い起こさせます」とも言った。
社会科で習った鎌倉仏像だかの仁王像に比するのも少々無理があるな。逸ノ城の顔は仁王像というよりはゴツいモンゴル顔。教科書で肖像画を見たことがあるフビライハン、朝青龍と同じ騎馬民族のエラ張りデカ面。
逸ノ城、本名アルタンホヤグ・イチンノロブ。特徴はデケえくせに跳んで勝つ変化技。それで連想するのが鎌倉時代に攻めてきた元寇。刀と弓と矢しか持ち合わせない日本の武士に対して、飛び道具「てつはう」使って攻め込んだ。要は勝ちゃいいのだ。サムライがモンゴル兵を前にして馬上高らかに「やあやあ、遠からん者は音に聞け、近くば寄って目にも見よ、我こそは日の本一とうたわれし」などと自己紹介してる間に飛び道具でドン! 勝ちゃいいんだからなんでもあり。