著者のコラム一覧
松崎菊也戯作者

53年3月9日、大分県別府市生まれ。日大芸術学部放送学科卒業後は宇野重吉らが率いる「劇団民藝」に所属。その後はコントグループ「キモサベ社中」「キャラバン」を経て、88年にコントグループ「ニュースペーパー」を結成。リーダー兼脚本家として活躍した。98、99年にはTBSラジオ「松崎菊也のいかがなものか!」でパーソナリティーを務めた。現在も風刺エッセイや一人芝居を中心に活躍中。

昼間から6時間のキャンプ生中継もバカにしたもんじゃなかったぞ

公開日: 更新日:

 学校の部活でやってる野球プロ野球は練習のレベルが、まるで違う何をいまさらの事実。つぶさに知るにはプロの練習をキャンプ地まで出向いて見るしかない。それがCSスポーツチャンネルの生中継で見られる時代になった。わたくしは今年は堪能した(暇だったせいもあるが)。

 内野を回る送球プレーの速さよ。グラブに球が収まるスッパン! という音の小気味よさよ。プロ野球のいわば生地、裁断、縫製の裏側までファンが生放送OBの解説付きで6時間、つぶさに享受できる時代となったのだ。何とぜいたくなことか。

 何よりも静かなのがいい。聞こえるは守備コーチの甲高い声と選手を鼓舞するBGMだけ。開幕すれば、歓声にへたくそトランペットのパラパラヒェ~のぷっぷくぷ~にやけくそ太鼓がドンドコ混じり、純粋に野球を楽しみたいファンにしてみりゃ、ただやかましいだけの中継と成り果てて辛抱たまらなくなるのに。

 たとえばCSスポーツチャンネル「GAORA」が独占する名護市営球場のファイターズキャンプともなると、応援だって叫んでいるのはおっさんひとり。このご仁が選手の登場曲を丸暗記しておって、たったひとりで「ぱ~っぱらぱっぱらぱ~」と口述トランペット序奏後に、「かっとーぁせー、にーしかわ! ほーむらん!」とか、これを全登場選手分おやりになるのを聞くにつけ、どういう方なのだろうか? と思いを巡らす楽しみのおまけ付き。

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