麻薬中毒でも「1シーズン出場停止」まかり通るメジャーの理屈
ずいぶん寛容な世界だと思った向きも多いかもしれない。先日、コカインの再使用を告白したと米紙に報じられたエンゼルスのジョシュ・ハミルトン(33)に、1シーズンの出場停止処分が科される可能性が出てきたという。4日付の「ロサンゼルス・タイムズ」(電子版)が報じた。
ハミルトンはメジャーを代表する強打者。08年に打点王、10年には首位打者とMVPを獲得。今季年俸約28億円の高給取りだ。
ドラフト全米1位でデビルレイズ(現レイズ)に入団しながら、マイナー時代にグレた。全身26カ所に入れ墨を入れ、コカインに溺れた。薬物更生施設に8回も入ってクスリを断ち切り、スラッガーとして定着したはずだった。
しかし、5年総額約150億円でエンゼルスに移籍した13年からケガや神経痛に悩まされ、成績は下降線。今回は大リーグ機構(MLB)職員との面談でクスリの使用を認めたそうだから、覚悟の“自首”か。
現在のMLBの薬物規定では1回目が80試合の出場停止、2回目が162試合の出場停止、3回目が永久追放になる。ハミルトンはマイナー時代に少なくとも6回は薬物違反を犯したといわれるから、本来ならとっくに永久追放されてもおかしくないものの、そもそもMLBは他のスポーツに比べて薬物に寛容な組織。永久追放を含めた厳罰を科すようになったのは、ハミルトンが更生施設通いから卒業した後だ。したがって12年の飲酒薬物疑惑を1回目にカウントすれば、今回は2回目で162試合、つまり1シーズンの出場停止処分なのだろう。
もっとも本人の体は薬物の影響もあってすでにボロボロとも。選手生命に幕を下ろす可能性が高い。