執刀100人超の医師が語る「トミー・ジョン手術」のすべて
レンジャーズ・ダルビッシュ有(28)が受けたトミー・ジョン(腱の修復)手術に改めて注目が集まっている。この手術は100%近い成功率といわれるが「必ずしも全員が復帰できるとは限らない」というのは産業医科大学若松病院の内田宗志医師(診療教授)だ。過去8年間で100人以上の肘を執刀した内田医師にメスを入れるリスクなどを聞いた。
――トミー・ジョン手術で失敗例はないのですか?
「必ずしも成功率は100%とはいえません。米国の手術結果を示す『システマティック・レビュー』という論文によれば、トミー・ジョン手術の成功率は約83%と報告されています。靱帯を移植した選手がすべて戦列に復帰できるとは限らないのです。手術は成功しても、さまざまな合併症を起こす可能性があります」
――合併症とはどんなものですか?
「合併症の頻度は約10%です。そのうち約6%が尺骨神経が炎症を起こし、腕から小指にかけてしびれが起きるのです。こうなると肘にもしびれが生じるため投げられません。しびれが出た場合は(メスを入れ)神経系統の通り道を広げれば、投げられるようになります」