夜中のバルコニーから松井秀喜の荒い息が聞こえてきた
ふんっ、ふんっ。
カーテンを少しめくってバルコニーの様子をうかがうと、そこには汗だくになってスクワットをする松井がいたのです。
凄い。やっぱ、こいつには勝てないわ。
素直にそう思わされました。
といっても、部屋の中では相変わらずのマイペース。松井が先に帰っているときは、起こしちゃ悪いとこっちは抜き足、差し足で電気もつけずにベッドにもぐり込んでいるのに、僕が先に寝ていると、松井はドカドカと入ってくるや、ベッドサイドのライトまでつけ始める。そして、新品のTシャツやらポロシャツやらをバリバリ、ガシャガシャと大きな音を立てながら、ビニール袋から取り出したりするのです。
それ、今、やる必要あるの?
すっかり目が覚めてしまった僕がトイレに行くと、戻ってきたときにはもう松井は高いびき。そんな感じです。途中から、豪州まで来て2人部屋はないよな、と行く先々で順番に自腹でホテルを取ろうと提案。松井は二つ返事で了承しましたから、彼は彼で気を使っていたのかもしれませんが……。(つづく)