世界陸上で金でも744万円 日本から陸上選手がいなくなる日
■金銭面で稼げない競技は見向きもされず
甲子園を騒がせた早実の清宮(1年)は、父親(克幸氏=ヤマハ発動機ラグビー部監督)の影響で小学生までラグビーをやっていたが、ラグビーでは稼げないというので野球に専念してメジャーを目指すことにしたという。
陸上だって、日本の選手は金銭面ではまったく夢がない。マラソンは日本記録を更新すれば1億円のボーナスがもらえることになったが、あれも世界との差が広がるばかりなので苦肉の強化策。いわゆるニンジン作戦で喜ばしいことではない。
あるスポーツ雑誌の記者が言う。
「陸上は短距離も、室伏(広治)がいない投擲競技も世界の壁は厚い。結局、陸上選手は実業団に入って国内大会で上位を目指すしかない。給料は職場のサラリーマンと変わりません。この先子供は減る一方です。親も子供も夢のない競技には見向きもしなくなるのではないか。世界水泳の金メダルは2万ドル(約248万円)だから、世界陸上より賞金額は低いが、それでも日本の水泳はレベルが高い。五輪で金メダルが狙える夢はあります」
今年3月、競歩男子20キロで鈴木雄介が世界新記録をマークした。立派だし、大したものだが、だからといって、それで日本の競歩人口が急増することはないだろう。