悲願のはずが…山下氏らIJF理事就任大喜びできない理由
これは「終わり」の始まりになるかもしれない。
国際柔道連盟(IJF)は21日、カザフスタンでの総会で、全日本柔道連盟の山下泰裕副会長と講道館の上村春樹館長の理事就任を全会一致で決めた。17年の役員改選を待たずに、異例ともいえる任期途中での就任は、IJFのビゼール会長による指名理事枠によるもので任期は2年だ。
ビゼール会長は、非五輪競技を含めた各種の国際スポーツ団体が加盟する「スポーツアコード」の会長も務めていたが、今年4月に採用種目などを巡って国際オリンピック委員会(IOC)を痛烈に批判。ビゼール発言に反発した各競技団体が脱退する事態にまで発展したことなどからスポーツアコードの会長を5月に辞任。スポーツ界における急速な権力の衰えを阻止すべく、IJFの理事復帰を悲願とする柔道発祥国を取り込み、東京五輪へ向けて影響力を残そうという考えだ。
ビゼール会長は、東京五輪で柔道の男女団体戦の実現を目指しており、「金メダルが2つ増えるかもしれない」と、ソロバンをはじく全柔連もタッグを組む。しかし、一度はIOCに弓を引いたビゼール会長との関係強化は、全柔連にとって必ずしもプラスになることばかりではない。
野球・ソフトボールが五輪競技から除外され、レスリングも一時除外の危機に瀕した。ビゼール憎しのIOCが、20年東京大会以後の五輪で柔道を除外する可能性はゼロではない。