入団時と状況酷似…またも巨人に翻弄される高橋由の“悲哀”
「気の毒に……」
チーム内からはそんな声が聞こえてくる。
高橋由伸(40)に一本化された巨人の次期監督候補。さっそく昨20日に都内で初交渉が行われたが、「由伸が幹部候補生なのは誰もが認めるところだけど、来季からということになると本人にとってはまさに青天の霹靂でしょう。一本化という既成事実をつくられ、外堀を埋められてノーとは言えない雰囲気になっている。結局、また巨人に翻弄されるとすれば……ねえ?」とチーム関係者は言うのである。
多くの関係者の頭をよぎるのが、97年11月4日に慶大の日吉校舎で行われた逆指名会見だ。その日の朝のスポーツ紙は「高橋由、西武入りを決断!」「高橋由、ヤクルトを逆指名!」の2つに分かれ、他球団のスカウトも「そのどちらか」と口を揃えた。だが、生気のない青白い顔で会見場に現れた高橋由は、着席するや巨人逆指名を表明。晴れがましい席に似つかわしくない、暗くて重い口調だった。直後、会見場にいた関係者の携帯電話が鳴り、「巨人だよ、巨人! ホント、ウソじゃないって。今、本人が言った!」と外に飛び出した。電話の相手は、他ならぬ巨人のスカウト。当事者ですら驚く、まさかの逆指名だったのだ。