勝負は1秒で決着も…琴奨菊vs.稀勢の里は若貴以来の注目度
日本中の相撲ファンが固唾をのんで見守った……と言っても過言ではあるまい。
大相撲3月場所9日目に激突した2人の日本人大関。1敗の琴奨菊(32)は前場所で日本出身力士として10年ぶりの優勝を果たしており、綱取りのためにもこれ以上負けられない一番。ライバルに先を越された稀勢の里(29)は無傷の8連勝とあって、何とか悲願の初優勝を果たしたい。
両者の思いがぶつかり合った相撲はしかし、1秒足らずで決着がついた。立ち合いで低く当たる琴奨菊に稀勢の里は頭からぶつかると、右に変化して突き落とし。熱戦を期待していたファンも拍子抜けしたのか、場内はしばらく騒然としていた。
とはいえ、悪い話ばかりではない。モンゴル人が土俵を席巻して以来、日本人力士は刺し身のツマ扱い。好角家以外は彼らの対戦には見向きもしなかった。それが先場所、琴奨菊が初優勝を飾るや、呼応するように稀勢の里も快進撃。ここまで日本人力士同士の対戦に注目が集まるのは、95年11月場所で優勝決定戦を行った、若乃花と貴乃花の兄弟横綱対決以来だろう。
この日もヒジ打ちを繰り出したように、汚い相撲しかできない横綱白鵬はすでに落ち目。日本人が土俵で主役に返り咲く日も、遠くはなさそうだ。