少年時代の師範 柔道“康生2世”羽賀龍之介の成長を実感
「練習中に、例えば帯がほどけた仲間を見つけると、さっと駆け寄り締め直してあげる。なにか技をひとつ指導すれば、次の日にはその技に入るための組み手、体のさばきなどを自分で考え、勉強し、2歩先、3歩先まで実践する。子供の頃から視野が広く、聡明でした。彼の一番の武器はそうした人間力。苦しい思いをした分だけ、大きく成長していると感じます」
実際、はっきりとリオを意識して臨んだ昨年の戦績は圧倒的だった。国際大会で連戦連勝。ほとんどが一本勝ちという快進撃を見せ、8月の世界選手権ではついに頂点に立った。
世界チャンピオンとして戦う初の五輪では、当然、世界の強豪から標的にされ、研究される。すでに世界選手権では、伝家の宝刀の内股を警戒され、6戦中4戦がポイント勝ちだった。
ライバル国のマーク、五輪の緊張、日の丸の重圧をはね返したとき、日本柔道に待望久しい「エース」が復活する。