甲子園常連バタバタ敗退 勝ち抜く“地域と学校”を識者解説
波乱の予感が漂う今夏の甲子園。スポーツライターの美山和也氏はこう言う。
「大阪桐蔭をはじめ、全国の名だたる強豪校が地方大会で姿を消しているのは、今どきの選手の気質と無関係ではありません。練習などが厳しい強豪校が、選手から敬遠される傾向が年々強くなっているというのです。ある有望中学生は、スカウトに来た強豪校の関係者にいきなり『月曜は練習休みですか?』と聞いたそうです。好選手が私学へ行かずに公立校に流れたり、分散する傾向があるため、番狂わせが起きやすくなっているのです」
横浜高の元野球部部長で、臨時コーチとして北は北海道から南は沖縄まで、全国の高校を指導する小倉清一郎氏は、高校野球の勢力図をこう分析する。
「地域のレベルで言えば、関東と近畿が高い。関東は6年連続の作新学院(栃木)、春夏連続の常総学院(茨城)と木更津総合(千葉)など常連校の出場が多い。この夏は経験値を生かし、勝ち上がる可能性が高い。北海道、東北、四国、九州のレベルはいまひとつ。鍛治舎監督率いる秀岳館(熊本)は春の甲子園ベスト4。強力打線でスキのない野球をする。当然優勝候補に挙げられるでしょうが、投手力に難があるのが気になります。全国で強豪校が敗退しているため、横浜(神奈川)を筆頭にプロが注目する投手を擁する実力校が出場すれば、甲子園でもチャンスが広がります」