両親に宛てた手紙で涙…楽天1位・藤平尚真は心優しき右腕
千葉シニアの加藤正次監督もこう証言する。
「投げることが大好きで、順調に育てばプロに行くだろうなと思っていました。3年の夏にシニア選手権の初戦(新潟シニア戦)でプレーボールから10者連続三振を取ったときは圧巻でした。その試合も次の試合も完投させたので、3戦目(準々決勝)は休ませてレフトを守らせたんですが、2番手のピッチャーが打ち込まれたんです。ふっとレフトを見たら、藤平がベンチに向かって肩をぐるぐる回してアピールしていたんです」
その姿を意気に感じた監督は最終回に登板させると、初球で138キロを計測した。
■祖父は少年野球の監督
闘志むき出しの性格を見せる一方で、親思いの一面も。両親は共働きで、母の直美さんは美容院を経営し、父の武美さんも会社員。野球の練習相手はもっぱら祖父の鎌田幸一さんだった。かつて少年野球の監督も務めていた幸一さんの自宅も藤平家からほど近い富津市内だったため、そこでキャッチボールや素振りをする孫を叱咤激励していたという。
両親も多忙の合間を縫って、毎週末のように千葉市内にあるシニアのグラウンドへ向かった。自宅から車で片道1時間半かけて息子の応援に行った。そんな両親の支えに藤平は、中学3年の夏、日本選手権の壮行会で両親に宛てた手紙を朗読。ボロボロと涙をこぼしながら、感謝の気持ちを伝えたという。