大関・稀勢の里 「優勝なしで年間最多勝」のどっちらけ
まさにこの大関を象徴する記録ではないか。
横綱鶴竜の3度目の優勝で幕を閉じた大相撲11月場所。今年1年を通じて、年間最多勝に輝いたのは大関稀勢の里(30)だった。
今年は69勝21敗。日本人力士としては98年の若乃花(元横綱)以来となる18年ぶりの栄誉だが、喜んでばかりもいられない。なにせ、優勝なしでの年間最多勝は史上初の珍事。今回の“タイトル”も、横綱白鵬が先場所を全休、今年62勝止まりに終わったから。昨年まで9年連続年間最多勝の白鵬が、仮に先場所も出場していたなら、さらに記録を伸ばしていたことだろう。
稀勢の里は「安定して勝つ力がある」といわれているが、それは長いスパンで見た時の話にすぎない。本場所15日間、安定した相撲を取れたことは一度もない。今場所は3横綱を立て続けに撃破するも、平幕に3敗。取りこぼしがなければないで、ここ一番では上位力士にコロッと負ける。大負けをしない代わり、大勝ちもできないのが稀勢の里なのだ。
「優勝なしの年間最多勝」は稀勢の里の唯一にして無二の記録となりそうだ。