高梨 大卒3年目の新人王は日ハム“ドラフト戦略”の象徴
「大卒3年目の新人感のあまりない僕がもらっていいのかな、という思いはありますが……」
本人が苦笑いしたのも無理はない。
今季のパ新人王に輝いた日本ハムの高梨裕稔(25)。大卒3年目以上の選手がこの賞を受賞するのは、長いプロ野球史において初めてだ。
高梨は13年ドラフト4位で山梨学院大から日ハムに入団。1年目の14年は一軍登板ゼロ。昨季もわずか2試合のみだった。それが今季は中継ぎで開幕を迎えると、6月に先発転向。ローテの一角を担い、救援を含めれば37試合、10勝2敗、防御率2・38と目覚ましい成長を遂げた。日本シリーズでも4戦目に先発し、5回1失点とゲームをつくって日本一に貢献した。
あるパ球団の編成担当は「実に日ハムらしい選手だね」と、こう話す。
「世間的に大卒選手は即戦力だと思われているけど、それは才能に恵まれたほんの一部。特に昨今は大卒でも、頭角を現すまで2、3年かかる選手は珍しくない。日ハムはそこを逆手に取って、育成目当ての大卒選手をドラフトで下位指名している。高梨もその一人。入団から2年間、一軍の戦力にならなかったのは織り込み済みと聞いている。大卒3年目の“高齢”新人王というのも、あの球団にとっては不思議でも何でもないだろう」