川内優輝は中13日で2レース 実業団から“2世”なぜ出ない
瀬古リーダーは福岡国際の激走のあと、100キロ走をトレーニングに取り入れている川内を高く評価した。今後、マラソンの強化方法が変わってくるかもしれないが、ある実業団OBがこう語る。
「実業団は11月から3月のロードシーズンでも、月に1000キロ走る選手は珍しい。例えば、元日のニューイヤー駅伝の各区間は10~20キロ程度の距離。指導者はそこで成績を挙げなければ死活問題ですから、当然スピード重視の練習が中心になる。実業団では川内君のように、一年を通してマラソン強化はできないのです」
■代表入りが目標
さらにこのOBは続ける。
「駅伝が終われば、42キロ以上を走るマラソンの練習に本腰を入れることになる。でも、指導者は故障が怖いので選手に長い距離を走らせたくない。瀬古さんは現役時代、50キロや70キロ以上の走り込みを繰り返していた。シドニー五輪金の高橋尚子も月間1300キロぐらい走っていたという。そんなことをやっている選手は今は皆無だし、そもそも指導者がやらせません。五輪や世界陸上のマラソンは上位入賞ではなく、代表になることが最大の目標ですから」
来月の箱根駅伝で3連覇を狙う青学大の原晋監督はことあるごとに、日本の陸上界に厳しい提言をしているが、陸連は有効な強化策は打ち出せないし、実業団の実態も大きく変わってはいない。陸上界の人間に任せていても、日本のマラソンは復活できないのか。