薬物選手再評価とトランプ発言…24年ロス五輪に漂う暗雲
史上最多となる3度目の開催は雲行きが怪しくなってきた。24年夏季五輪開催地に立候補している米国・ロサンゼルスのことだ。
米国内でのドーピングへの意識が低下しているからだ。18日(日本時間19日)に発表された野球殿堂では落選したものの、現役時代にドーピング疑惑のあったバリー・ボンズ(投票率53.8%)、ロジャー・クレメンス(同54.1%)の2人が過半数の支持を集めた。以前ほど、薬物に対する嫌悪感がなくなっているのだ。
ステロイド時代にコミッショナーを務めたバド・セリグ、あのマーク・マグワイアがプレーしたカージナルスを率いたトニー・ラルーサの2人が昨年殿堂入りしたため、「選手も評価すべき」という風潮が強まっているともいう。
ドーピング選手を再評価する米国の風潮には、IOCが重大な関心を寄せている。ロシア陸連による組織的ドーピングに端を発し、IOCとWADA(世界反ドーピング機関)は、新たな協力関係を築いた。ここ数年の米国の野球殿堂選出は、禁止薬物撲滅に向けた機運の高まりに逆行するだけに、「ロサンゼルスは五輪の開催地にふさわしくない」と判断するIOC委員も中にはいる。