“話し方講座”なくピリピリ 新人研修会で見えたNPBの焦り
名物コーナーが消えた。
11日、「NPB新人選手研修会」が開かれ、ソフトバンク1位指名の田中正義(22=創価大)ら12球団の新人選手114人が参加した。約5時間にも及んだ講義内容は「薬物乱用防止」「暴力団の実態と手口」「有害行為について」など。そんな中、毎年恒例の名物コーナー「インタビューへの対応」がなくなっていた。元ニッポン放送アナウンサーの深沢弘氏による話し方講座で、例年その年の注目選手が壇上に上げられ、受け答えに対して深沢氏がダメ出しするというもの。なくなった理由について、NPB関係者は「深沢さんの都合がつかなかったため」と説明したが、昨年までの和やかなムードとは一変した。
今回の研修会、昨年2月に清原和博(49)が覚醒剤取締法違反で逮捕され、昨年3月に巨人の高木京介(27)が野球賭博に関与していたことが発覚してから初の開催。高木の一件は一昨年10月、巨人の福田聡志(33)と笠原将生(26)らの野球賭博関与に続く不祥事となり、昨年3月に球団幹部3人が辞任した。
清原逮捕や高木京の事件も研修会の直後だっただけに、NPBのメンツは丸つぶれ。さらに、タイミングが良いのか悪いのか、この日は笠原や福田が参加していた野球賭博を上位で束ねる「中胴元」が逮捕されている。熊崎コミッショナーもこの逮捕に触れ、「野球賭博事件で日本のプロ野球界は揺れに揺れ、野球ファンの信頼を裏切った。ルールを守り、人の道に外れることは絶対にしない。それを心に留めてほしい」と声を張り上げた。井原事務局長もご丁寧に事件当時の新聞記事をスクリーンに映し出して解説。これでもかとコンプライアンスに力を入れていることを必死にアピールした。
一日を終えたロッテ1位指名の佐々木千隼(22=桜美林大)が「大学ではドーピングの話を学んだぐらいだった。賭博や暴力団の話は初めて。これからは、他人事じゃない」と口にしたが、話を聞いていたルーキーたちは総じてアクビが止まらなかった。