投手起用は「行き当たりばったり」
〈自分が登板するタイミングが読めず、一部の投手陣に戸惑いを生んだ〉
そんな報道もあったようだが、方針は大会前の合宿のときに各投手にこう伝えていた。
「逆算して準備ができるのは先発だけ。第2先発という考えも捨ててほしい。とにかくブルペンはみんなで戦う」
もちろん、いくら臨機応変といっても、準備もしていない投手をマウンドに上げるわけにはいかない。大会が始まると、味方の攻撃中にベンチとブルペンを何度も往復、「○○と○○、用意をしとけ」「いくぞ! 頼むぞ!」と自分の口で選手の目を見ながら伝えた。
小久保監督とはベンチで常にコミュニケーションを取った。試合中、監督から「次、どうしましょうか?」と相談され、「○○と○○に準備をさせてますが、ちょっと待ってください。迷ってます」と、そんなやりとりをすることも何度かあった。監督も迷い、私も迷いながら、それでも、その時々で最善の手は打てたつもりである。
ただし、1次ラウンドが終わった時点で、イニングまたぎの登板だけは極力避けようと思った。なにしろ、マウンドから帰ってくる投手がたった1イニングでもヘトヘトになってベンチにへたりこむ。それだけ、プレッシャーがあったのだ。