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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

今季の錦織圭 度重なる故障の根底に“フェデラー現象”

公開日: 更新日:

■35歳の「サンシャインダブル」

 BNPパリバからマイアミの2週連続優勝は「サンシャインダブル」と呼ばれ、ドロー数が多く条件も異なり、達成したのは男女10人だけ。故障者続出の中、35歳のフェデラーによる「ダブル」は象徴的だった。

 フェデラーとラファエル・ナダル(30)は、ほとんど故障なしに時代を築き上げてきた。特にフェデラーは1998年のデビュー以来、1099勝246敗に及ぶ試合中の棄権がゼロ、大会中の棄権も3度だけ。逆に見ると、フェデラーの前のピート・サンプラス、さらに前のステファン・エドバーグ、ジョン・マッケンローもほとんど棄権はなかった。いま頻発している故障は、ここ15年の“フェデラー現象”の一つではないか。

 フェデラーの出現でテニス人気が高まって大会が増え、賞金が高騰し、マスコミが騒ぎ、レベルが上がり、プレッシャーが強くなった結果、ゲームのバランスが崩れた……上昇中の西岡良仁(21)のケガも、こうした世界情勢に疎いままの日本の対策不徹底と見ていい。

 フェデラーはいわばツアーのペースメーカー。だったら、コンピューターランキングのメカニズムに振り回されず、頑としてマイペースを推し進めていくしかない。古い言い方で恐縮だが、マラソンにたとえれば、錦織の道は川内優輝の唯我独尊ということになるか。

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