左に不安の稀勢の里 “下半身頼み”で残り12日乗り切れるか
「今日は『相撲に負けて、勝負に勝った』という内容。むしろ千代の国を褒めてやらなきゃいけませんよ」
こう話すのは、相撲評論家の中澤潔氏だ。
16日、横綱稀勢の里(30)は平幕千代の国(26)と対戦。前日、結びの一番で鶴竜を撃破した相手に、和製横綱は防戦一方だった。立ち合いから負傷を抱えている左半身を攻められると、その後も千代の国のスピードに翻弄されっぱなし。だが、土俵際まで攻められながらも右足一本で千代の国の寄りをこらえると、気鋭のスピード力士も苦しい顔。突いても押しても残す稀勢の里は、つんのめりながらも前に出る勢いのまま、難敵を押し出した。
「ギリギリだった? まあまあ。いいんじゃないですか。しっかり一日一日取るだけです」
内容が内容だけに、横綱は勝っても不満顔だった。
この日の勝因は下半身の粘りだ。稀勢の里は先場所、左上腕と左大胸筋を負傷してから、足腰を重点的に鍛えてきた。取組を見ていた力士も、「下半身の粘りですね。先場所までの稀勢の里関だったら? 片足一本で残すことはできなかったかもしれない」と言う。