<千代の国憲輝>恩師の死に号泣した“伊賀の空手力士”
■いわく付きの四股名
まるで空手のような足運び、速さを生かしたきっぷのいい取り口は先代師匠が好むところ。千代の国は先代九重親方にことさら可愛がられ、昨年7月に師匠が他界したときは人目をはばからず号泣。出棺の際も、悔しそうな表情で棺を見つめていた。
ネックはケガの多さだ。12年は左手靱帯断裂、14年には両ヒザ半月板損傷など、満身創痍。12年に新入幕を果たすも休場が多く、14年には幕下、15年には三段目まで転落した経験がある。
「実は千代の国という四股名はいわく付きなんです。これは九重部屋に昔からある、伝統的な四股名。ただ、この名を冠した力士はケガに泣かされることが多い。千代の富士の兄弟子にも同名の力士がいたが、これもケガで出世できなかった。千代の国もそれを知りながら、『でも、伝統的な四股名ですから、これをいただきます』と前向きだったんですが……」(前出の関係者)
稽古熱心で、多くの力士が「ガッツがある」と口を揃える。4月には結婚を発表。このままケガで終わるには惜しい力士だけに、今後の奮闘に期待だ。
▽ちよのくに・としき
本名は澤田憲輝。1990年7月、三重県伊賀市出身。突き、押しを得意とする。182センチ、138キロ。最高位は東前頭筆頭。