聞こえてくるGM交代の先 巨人次期監督に中畑氏が急浮上
13年も前のそんな昔話が持ち出されるのも、読売と球団内に巨人人気の落ち込みを懸念する雰囲気が充満しているからだろう。その背景にあるのが、スポーツ紙や週刊誌などで「KY」と揶揄されている、球団首脳の言動だ。連敗中、老川祥一オーナー(75)が頻繁に球場へ足を運んでは、試合直前に選手を集め、視聴率の低下やチケット売り上げの低迷を持ち出して、檄を飛ばしていたという一件である。
実際には、巨人の観客動員は昨年に比べて減ってはいない。頭打ちではあるが、昨季の主催試合の平均入場者数は4万1724人で、今季は4万2027人。にもかかわらず、オーナーが営業的懸念を選手にまで訴えるのは、ファン離れに対する危機感があるからだろう。事実、2年目の高橋監督に対するファンの不満がネットを中心に広がりを見せ、「勝てない、暗い、つまらない」と散々。巨人OBでもある中畑氏に雰囲気をガラリと変えてもらい、ファンをつなぎ留めようというのは、いかにも巨人上層部が考えそうなことではある。そもそも、指導者経験のない高橋監督の就任にしても、懲りもせずに繰り返す大物選手の補強にしたって、根底にあるのはチームの強化という以上に、人気優先、商売優先の考え方だ。
プロ野球は興行だから、カネもうけはもちろん重要だ。巨人が商売を考えるのは理解できるが、人気優先で生え抜きの育成をおろそかにするようでは、弱体化に歯止めはかからない。