10点差の大逆転劇 ヤクルト大松が語っていた“外様イズム”
高校野球さながらの大逆転劇だった。
ヤクルトは26日の中日戦で、前日に続く延長戦に突入。十回裏、代打の大松尚逸(35)がサヨナラ本塁打を放って試合を決めた。10点差からの逆転勝利は、プロ野球史上4度目、1997年以来20年ぶりという珍記録のおまけ付きだ。
5位と最下位チームの一戦。なおかつ七回表終了までは0―10のワンサイドゲームだったが、大松の一打でスタンドは大盛り上がり。14連敗が止まって以降、初の連勝となった。お立ち台で「これからも連勝できるように頑張ります」と話した大松は自身3度目となるサヨナラアーチ。ヤクルトでは5月9日以来2度目となる。
チームは借金26の最下位。ベンチが静まり返る中、このベテランは若手顔負けの大声で声援を送っている。理由を聞くと、“外様”ならではの考えを明かしてくれた。
「ヤクルトはもともとそういうことをしなくても強かったチーム。アットホームな部分が良いところでもある。それが勝てないからといって、急にやれというのも難しい。それなら僕らがやればいいし、それで雰囲気が変わればいいかなと思う。自分もたくさん使ってもらっているのに、結果が出ないことも多い。『最低、転がして1点』という場面で(浅いフライを)打ち上げてしまったり……分かっていても打てなければ、分かっていないのと一緒。(声出しは)せめて何か力になれたらと思ってやっていることです。あと、(スタメンを外れて)守備につかない場合、ベンチの中でボーッとなってしまいがちなので、声をかけたり応援したりすることで自分の中でリズムも取れるんですよ」
大松は昨年5月に右アキレス腱を断裂。ロッテを戦力外になり、入団テストでヤクルトに拾われた。常々ヤクルトへの感謝の言葉を口にする「代打の神様」は、打つだけが仕事ではない。