元近鉄の天理・中村監督に聞く “プロ経験者”の高校野球論
4年前、「プロアマ規定」の緩和で教員免許なしでもプロ野球経験者が高校野球の指導者になれることになった。18日に登場する天理(奈良)で指揮を執る中村良二監督(49)もそのひとり。1986年夏に天理の主将として全国制覇を経験し、ドラフト2位で近鉄に入団。97年に阪神で引退後は、藤井寺シニアや天理大学で指導した。プロ経験者が教える野球とは。
■引退後はアルバイトを3つ掛け持ち
――プロ出身の指導者は現役時代の年俸(最終年は800万円)とのギャップに驚くといわれていますが。
「僕は(現役を)辞めてすぐ定職に就けず、月~金曜まで朝8時半から夕方5時まで大阪で遺跡の発掘調査の仕事をしていました。日当1万円くらいはもらっていましたね。土日だけ少年野球を見て、その仕事をしながら、週3日はローソンで夜勤をしていました。野球用品を売っている時期も2年くらいあった」
――プロでの経験を高校野球で生かしている部分はありますか。
「プロで学んだことは『基本に忠実』ですね。プロのキャンプでも、基本を徹底する。中学生チームの監督を9年間、大学の指導を5年半やって、僕がプロで受けた指導をそのまま言っても通用しないというのに気付きました。特に最初の指導が中学生だったので。普通にできるだろうと思っていっぺんに教えてしまう。例えば、ボールを捕って投げるという動作を一緒に教えてしまうと、“捕る”と“投げる”を半々しか聞いていなかったり。分けて指導してから、最終的に一連の動作でやらせた方が身に付くのが早い。それに気付くのに1、2年かかりました」