証言バラバラ野放し 日馬富士暴行を収拾できない協会の愚
貴乃花親方の行動も不可解だ。用意した2通の診断書は内容が異なる。被害届を提出した鳥取県警に出したものより、日本相撲協会に出した診断書がより重症で、「右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑いなどで全治2週間程度」と記されていたために大騒ぎになった。ところが、病院側の見解は骨折も髄液漏もあくまで「疑い」で、「重傷であると報道されていることに驚いている」と困惑しきりだ。こうなってくると、何が事実なのかますます分からない。
スポーツ評論家の玉木正之氏は言う。
「事件の当事者は口をつぐみ、周辺がそれぞれの利害関係で動き回り、ポジショントークを繰り返している。公益財団法人として大相撲の世界を管理する日本相撲協会は、それを野放しにしている状況です。本来であれば、八角理事長が組織を統率し、事態を収拾しなければならないのに、そうした認識に欠けているのではないか。このままズルズルと時間が経てば、日馬富士も貴ノ岩もますます表に出づらくなってしまう。この騒動で一番被害を受けているのは、いい相撲を観戦する機会を失う大相撲ファンですよ」
渦中の日馬富士はきのう(17日)、東京・両国国技館で鳥取県警から7時間以上に及ぶ事情聴取を受け、一言も発せずに車で立ち去った。捜査関係者によると、日馬富士は「ビール瓶では殴っていない。素手で複数回殴った」と暴行を認めているという。疑惑が疑惑を呼ぶ展開に陥っている。