広島やDeNAにも浸透 他球団との「なれ合い禁止」進むワケ
「チームとしては一線を引く必要がある」
そう話したのは、ヤクルトの小川新監督。さる2日、地元・千葉県の講演会での一言だ。ヤクルトは今季、リーグ最下位に低迷。原因のひとつが「ファミリー球団」という甘い体質にあるといわれてきたが、4年ぶりに現場復帰した小川監督はここにきて、他球団とのなれ合い禁止を宣言。「昔は他球団の選手と口を利くなと言われたが、最近の選手は12球団で横のつながりが強い」と球界の環境変化にも言及した。
「横のつながり」はWBCやオフの合同自主トレなどの交流がきっかけとなる。シーズン中もセ・パ交流戦で異なるリーグ選手との接触機会も増え、携帯電話やSNSの普及で、その輪はさらに広がりを見せている。試合前の練習で、出身校の先輩、後輩や親交のある者同士がグラウンドで長時間話し込んだり、試合中に走者と相手チームの一塁手が笑顔でちょっかいをかけ合うのは、もはや見慣れた光景だ。他球団の選手やスタッフ同士で食事をした楽しげな様子がSNSにアップされることもある。
なれ合いの積み重ねは、試合に影響を及ぼしかねない。あるセの投手は「普段から仲良くしていると、正直厳しいところを攻めづらくなる」と話し、別の選手も「酒席で盛り上がり、ポロッと相手の弱点やクセをしゃべってしまうこともある」と言う。こういった感情は真剣勝負の緊張感を欠く。八百長とは言わないまでも、「ぶつけてもいいから抑えてやる」という投手の本能は表に出てこない。