苦しい白星発進 白鵬を悩ませるヒジ封印と土俵外での醜聞
■15日間取り切る体力が問題
だが、相撲評論家の中澤潔氏は「これからは苦しくなるでしょうね」と、こう続ける。
「自分の力が衰えていることは、白鵬自身もわかっているでしょう。だから、これまでかち上げや張り差しといった小細工に頼っていた。それを今後は使えなくなった。この日の相撲は、まさに象徴的ですよ。阿武咲は出足の鋭さと押す力が武器。今の白鵬が立ち合いで正面から受け止められる相手ではない。だからこそ、後ろに下がって圧力をかわし、『逃げて勝つ』相撲になったのではないか。いわば、内容よりも『勝ち』を優先した相撲です。まあ、そもそも40回も優勝した横綱が下位の力士を張る方が間違っている。相撲で非難を受けないのが本来の横綱ですからね」
得意の“打撃技”を封じられたが、そこは腐っても白鵬だ。相撲の技術、反応の良さは他の力士の追随を許さない。問題は15日間取り切る体力だ。
ヒジや張り手で相手をひるませることができれば、立ち合いから自分の有利な状況をつくれる。ただ勝つだけではなく、終盤の優勝争いに向けて体力を温存できるのだ。