右ヒジ筋肉断裂からもう復帰…遠藤「強行再出場」の是非
「狂気の沙汰としか思えない」
角界からはこんな声も上がっている。
22日から再出場の遠藤(27)は、18日の5月場所6日目、御嶽海戦で「右上腕二頭筋遠位部断裂」の重傷を負った。「3週間の加療を要する」と診断され、7日目から休場していたが、まさかの復帰となった。もちろん、ケガは治っていない。それどころか、「(筋肉が)完全に断裂している」(追手風親方)という。にもかかわらず、手術すらしないというのだ。
遠藤には同様の過去がある。2015年の3月場所で、「左ヒザの前十字靱帯部分断裂および外側半月板損傷」で全治2カ月という力士生命にも関わる大ケガを負った。しかし、当時もメスは入れず、患部周囲の筋肉を鍛えることで故障をカバーする方法を選んだ。
追手風親方は「これ以上は悪くならないから」と話している。残り全休で番付を大きく落とすなら、出て1つでも2つでも勝つ可能性にかけたのだろう。ある親方は「それは悪手」と、こう話す。
「患部をかばう相撲を取れば、他の部位に負担がかかる。結果、負の連鎖となりかねない。遠藤にケガが多いのは、そうした事情と無関係ではない。右上手を取る相撲だけに、右ヒジのケガは致命傷に近い。これではケガを増やすために土俵に上がるようなものですよ」
責任感の強い遠藤だけに、「母校の日大がこんな惨状なのに、自分が休んでいるわけにはいかない、と思ったのでは」なんて臆測も角界で飛び交っている。
いずれにせよ、軽率とも取られかねない強行出場である。