国籍取得までは現役続行 稀勢休場にニンマリの白鵬の野望
最愛の父の死を乗り越えて、昨年11月場所以来、3場所ぶり41度目の優勝――。本人の中ではそんなシナリオが出来上がっていると、もっぱらだ。
横綱白鵬(33)が13日の初日、玉鷲を下し、白星発進。立ち合いで張り差しを選択し、同郷の後輩を押し出した。張り差しは「横綱の相撲として美しくない」と横審らから非難され、封印して臨んだ1月場所は惨敗。それだけに解説の北の富士氏も、「背に腹は代えられないんでしょう」と、ため息まじりに話していた。
白鵬は昨年の日馬富士暴行事件の現場に同席しながら、暴力をすぐに止めなかったことが問題視された。張り差しやかち上げに非難が集まったのも、その直後だ。それが喉元すぎれば何とやら。開き直ったかのように初日から“禁じ手”である。
そんなモンゴル人横綱を勇気づけているのが、今場所休場した和製横綱の存在だ。ある親方は「白鵬が稀勢の里(31)を恐れている、というわけではないが」と、こう話す。
「休場が長引けば長引くほど、自身の得にもなるとわかっているんですよ。白鵬には、相撲協会の理事長になるという野望がある。そのためにはまず、引退後に親方になる資格を得なければいけない。つまり、日本国籍取得です。すでに帰化申請をしたといわれているが、こればかりはいつ許可が下りるかわからない。下り坂を迎えていても、国籍取得までは何が何でも引退できないのです。そこにきて、稀勢の里が7場所連続休場ですからね。計算高い白鵬のこと、『優勝たった2回の稀勢があれだけ休場していいなら、40回のオレならもっと休んでもいいだろう』と思っているでしょう」
今場所は「亡き父に捧ぐ」というお涙頂戴のエピソードがあるだけに、復活を印象づけるにはもってこい。今場所を終えたら、長い休養に入るかもしれない。