悪質タックル口封じ画策 日大の財務を握る“黒幕”の正体
10年につくられた「株式会社日本大学事業部」では、その運営を一手に担ってきた。同社は日大の学部学科の物品の共同調達、学生向けの保険、キャンパス内の自販機設置、寮の管理など多岐にわたる業務を管轄。売り上げを年々増やし、昨年度は約70億円を稼いだ。
「医学部の医療器具や薬など、専門性が求められる分野の物品まで、事業部を通じて調達するようになった。門外漢が的外れなものを大量調達するため、各学部内では怨嗟の声が広がっています。井ノ口氏の強引なやり方は田中理事長の耳にも届いていますが、どこ吹く風。『事業部は年間3億~4億円も日大に寄付しているじゃないか』とかばってばかりです」(前出の元評議員)
事業部の功績を認めた田中理事長は昨年秋、評議員になったばかりの井ノ口氏をいきなり理事に抜擢。事業部を通じて日大の財政面を事実上、掌握したことで、ますます権勢を振るうようになったという。
「井ノ口氏の実姉も理事長の妻・優子夫人のお気に入りで、日大の広報・宣伝業務を仕切っています。年間約2600億円に上る日大の予算は、井ノ口きょうだいが全て差配しているようなものです」(日大関係者)
こうした権力基盤があればこそ、アメフト部でもデカイ顔ができるのだろう。内田前監督と井上奨前コーチを斬って捨てたところで、日大の闇は晴れない。