中日笠原ようやく今季初勝利 同期に隠れたドラ4左腕の苦労
お立ち台でまさかのヤジが飛んだ。
24日、中日の笠原祥太郎(23)がDeNA戦に先発し、6回3失点で今季初勝利。「やっと勝てて良かった。最初は余裕なく行っていたんですけど……」と話し始めると、スタンドから「声が小さい!」。本人は恥ずかしそうに苦笑いである。
今季9回目の先発登板。3度にわたって不運にも勝ち星の権利が消えていた。4月、6回1失点でマウンドを降りるも、2番手の又吉が炎上して勝ちが消滅。6月には2点リードを守って7回無失点で降板した直後、岩瀬が2点を失った。今月9日には五回に同点のまま2失点で代打を送られると、その代打・荒木が勝ち越し2ラン。勝利の権利を手にするも、逆転負けを喫した。
「9度目の正直」となった笠原の野球人生は、プロ入り前からスターの陰に隠れていた。新潟医療福祉大4年のとき、大学日米野球選手権の合宿に招集されながらメンバー入りはかなわず、日の丸のユニホームを着ることはできなかった。ジャージー姿でチームに帯同し、与えられた役目は「球拾い」。一方、試合ではのちにチームメートとなる柳裕也(当時、明大)が大会MVPに輝き、京田陽太(当時、日大)も決勝打を放つなど大活躍を見せていた。
小さい声は自信のなさの表れだろう。投手陣から「いつも自信がなさそうに投げる」と心配されることも。野手で同期の京田からは「もっとテンポ良く投げろ」と言われる始末だった。慣れないお立ち台で、最後は懸命に声を張った左腕。チーム88試合目でようやくスタートを切った。