息子が起こした“ガム事件” 筒香くんのひと言で救われた
このガム事件を知ったのは実は最近で、数年前にマネジャーから聞いて知りました。彼らの言葉で言うと、私に「チクらなかった」筒香くんはすごいなと。その優しさを知った息子は一般入試で横浜高校を受け、野球部に入りました。
筒香くんは中3のとき、ひとりで和歌山から出てきました。寮に入る子はだいたい3月の終わりに入寮します。彼は遠方だったので先に寮生活を始めていた。いつも先輩のいる中でポツンと食堂にいました。普通は不安ですよ。心細そうにしているものですけど、彼はあまり動じない感じ。同級生もいない中、毎日ひとりで練習を見学に行っていました。
筒香くんの2学年下になる日本ハムの近藤健介くん(24=11年卒)は、料理が好きでしたね。高校野球を引退すると寮生は時間ができます。私が食堂で準備をしていると、よく厨房に入ってきて手伝ってくれました。お腹がすいたらひとりでフライパンを振ってチャーハンを作ることも。私がギョーザを包んでいたときは、「僕もやります」と言って手元を見たら上手でビックリしました。「昔、家でお母さんが包んでいたのを手伝っていたので」と言っていました。そのコンちゃんが去年の年末、紙袋を抱えて、突然、私の前に現れました。
(つづく)