中日・根尾“14歳の冬”の悔恨と決意 野球一本に至る原体験
昂は当初、スキー、陸上、野球と「三足のわらじ」を履いていた。インストラクター資格を持つ両親の影響で2歳からスキーを始め、2015年2月、中2のときにアルペンスキースラローム回転で全国中学校大会優勝。翌3月イタリアで行われたユース世界大会にも出場したが、大回転(GS)は44位、回転(SL)は途中棄権と惨敗に終わった。日程の重なるボーイズリーグ春季全国大会支部予選に主将であるにもかかわらず出られなかったことで負い目を感じ、集中力を欠いたらしい。おまけに、飛騨高山ボーイズも初戦敗退。責任を感じた昂が「野球一本」を決意したのは、その頃だろう。出場資格があった3月末のスキージュニア五輪を辞退。陸上はスキーよりも早く、中2の夏でやめていた。結果が主に個人に跳ね返ってくるスキーや陸上に対して、野球は完全なチームスポーツ。いなければチーム全体に迷惑がかかる。「三足のわらじ」に限界を感じたに違いない。
■文武両道の人気者にも弱点が
父親は大阪桐蔭の寮へ毎月書籍を送っていた。昂はそれを読破するだけではなく、学校の成績も良かった。「高校生なんだから勉強するのは当然」とも話している。しかし、ただの「ガリ勉」ではない。昂の母校、古川中学校で3年時に担任だった橋本浩典教諭はこう言う。