駒田徳広氏は横浜入団発表前日に「現状維持でいいよな?」
プロ野球のストーブリーグの話題の中心になるFA。申請期間は日本シリーズ終了の翌日から1週間(土・日・祝日を除く)。当事者にとっては人生を左右する「7日間」だ。過去の経験者に当時の苦悩、葛藤、舞台裏を聞いた。
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FA制度が導入されたのは1993年。その「元年」に権利を行使し、巨人から横浜(現DeNA)へ移籍した駒田徳広氏(56=高知ファイティングドッグス監督)もまた、「巨人からの慰留はありませんでした」と言う。
「当時は『FA権なんて持っていても誰も使わないだろう』という雰囲気だった。槙原(寛己)が宣言残留したとき『そんなこともできるのか』と驚いたほどです」
駒田氏は「巨人生え抜き」で唯一、国内球団にFA移籍した選手。権利取得後、92年に勇退していた藤田元司監督から「巨人を出る覚悟があるのか。あるなら、アキのところへ行け」と言われたという。「アキ」とは近藤昭仁氏。91年まで巨人ヘッドコーチを務め、93年から横浜の監督に就任していた。駒田氏には横浜のほか、阪神、ダイエー(現ソフトバンク)、ロッテ、西武などが関心を示していたが、「横浜と天秤にかける気持ちはなかった」と言う。